例えるならば、パワーに優れたディーゼルターボエンジンか。500キロを優に超える馬体から繰り出されるスピードは加速力と持続力に優れる一級品。それがマイネルファルケだ。
昨年のマイルチャンピオンシップでは14番人気ながらもゴール前まで逃げ粘って波乱を演出。この春は飛躍を期待されたが、京都金杯は同型僚馬のマイネレーニアを先に行かせて抜け出したところを差し込まれて5着。東京新聞杯はマイペースに持ち込めたものの長い直線に息切れするように4着と敗れた。オープン特別の東風Sでは控える競馬で進境を見せたもののフィフスペトルの決め手に屈し、ダービー卿CTではショウワモダンとのマッチレースで1歩遅れを取ってしまった。そして安田記念でまさかの大敗を喫したあと、ビッグレッドファームに帰ってきた。
「いつも一生懸命に走る馬ですから、やはり安田記念のあとは少し疲れていましたね」というのは現在、同馬が夏を過ごしているビッグレッドファーム真歌トレーニングパークの小林司さんだ。春シーズンの5戦を終えたあとはビッグレッドファーム明和でおもに精神面のリフレッシュを施し、7月10日に真歌トレーニングパークにやってきた。
現在のメニューは、1周400mのトラックコースと全長1500mの坂路で乗り込まれている。「能力があるので早い時計を出そうと思えばいつでも出せますが、まだ良い頃に比べると気合乗りも含めて今ひとつの印象です。まだ目標は先ですし、焦る必要はないと思っています」という。
“マイネル”の馬は、自家生産馬と他牧場からの購入馬が混然としているが、マイネルファルケはビッグレッドファームの生産馬。牧場時代、本格的に調教を始めた頃は、他の馬についていくのがやっとだったというが、体力が付いてからは動きが良くなり、入厩前には当時、明和ナンバーワンだった同期のマイネルチャールズと併せ馬ができるようになったという。決して派手なパフォーマンスを見せるタイプではないが、ゆっくりと確実に力をつけたマイネルファルケ。こんなところにも生真面目な性格が出ているのかもしれない。
今秋の最大目標は昨年涙を飲んだマイルチャンピオンシップ。ここまで重賞競走では2着3回。安田記念を勝ったショウワモダンとの直接の対戦成績は2勝2敗。バイプレイヤーでは終わらないという意気込みがヒシヒシと伝わってくる。